2013年1月7日星期一

酒の安売り規制で医療費削減という英国の試み

酒の安売り規制で医療費削減という英国の試み
悪酔いして暴力沙汰を起こし、飲み過ぎて肝硬変やアルコール依存症など健康を害する…。それらの背景に、英政府は「激しい安売り競争」があるとみた。対策として、2013年から、酒類の小売価格に「これ以下では売ってはいけない」という下限(最低価格)を設けることにした。「無責任な店」を減らせば「有害な酒飲み」が減り、罹患(りかん)率も下がって医療にかかわる国の財政支出が減る…。とてもわかりやすい思惑だが、本当にうまくいく?(大谷卓)

■死に至る「有害な酒飲み」

 英BBC(電子版)によると、新たな規制はイングランドとウエールズで導入される。計画では、アルコール10ミリリットル当たりの最低価格を45ペンス(約60円)として設定し、単価に反映させる。対象は、パブではなく、過度な安売りをするスーパーマーケットなどだ。

 英国での酒類の安売り競争は度を超えている。例えば、300ミリリットルのビールが日本円で60円を切る値段で売られたり、ワイン1本を買うと2本目が「おまけ」でついてきたり…。政府に無責任な店と指摘されても仕方がないような売り方だ。

 飲酒をめぐっては、英国で深刻な社会問題となっている。

 英国家統計局のデータなどによると、成人の54%が週に一度飲酒しており、とくに中高年層の過度な摂取は問題となっている。ほぼ毎日飲酒する人を45歳以上と同未満で比較すると、前者は後者に比べ3倍にもなる。

 病院に搬送された人は年間100万人になるとの試算があるほか、このまま対処しないと今後20年間で20万人以上の死亡につながるだろうと英医学雑誌は指摘する。

■年2万4千件の犯罪が減る?!

 飲酒禍をもう少しみる。

 例えば、サッカーの試合会場の内外で暴れ回るフーリガンの存在は有名だ。アルコール依存症などを原因に死亡する著名人も少なくない。11年夏に27歳で死去した英国人の女性歌手、エイミー・ワインハウスさんは薬物中毒に加え、過度な飲酒によるアルコール依存症で知られた。死の直前にも過度な飲酒をしていたという。

 16~24歳の若者が飲酒に伴うけがや病気で通院するケースも急増。すでに、一定の滞在期間で受診料などが無料となる英国の医療保険制度「国民医療サービス」(NHS)は飲酒の影響で年間約30億ポンド(約4080億円)の過度な負担がかかっている。若い世代が高齢者になったとき、医療費が増え、国の財政負担はさらに増えるとみられている。

 英シェフィールド大学の調査によると、最低価格を設けることで、国民のアルコール摂取を4・3%減らし、10年後にはアルコールに伴う死亡者数を2千人、アルコール関連の病気の罹患者を6万6千人それぞれ減らせる。その結果、犯罪件数は年間2万4千件減る。

 消費者の購入費用を高くすれば買い控えが起き、飲酒量が抑えられるかもしれない。アルコール依存による病気も減り、市民が病院に行く回数が少なくなれば医療費にかかわる国の支出も減る…。机上で考えれば、すべてがうまくいく。

■それでも愛飲者は増える?!

 ところで、大阪を中心とした上方落語の名作、古典には多くの「酔っ払い」が登場する。

 相手を褒めてタダ酒を飲みたいがために、赤ん坊を褒めようとした男が出てくる「子ほめ」。うどん屋でうどんを食べずに飲酒する酔っ払いの男の「替わり目」。いずれも酩酊(めいてい)した市井の人々が、型どおりの常識やルールにとらわれなかったり、人情味にあふれ、愛すべき人間の姿を描いている。それを迷惑に思う周囲の人たちの様子もおかしい。

 「酒飲み」とその周囲の関係とは、本来そういうものだ。つまり、暴力沙汰や健康被害といったものまでいかない。それが、いい酒の飲み方なのだろう。

 当然、実際の社会は落語の世界のようにはいかない。飲酒に“逃げ道”を求めるしかないような心の病やストレスを感じる現代人も少なくない。新規制が英国で新たな「毒」にはならないとも限らない。

 英国の試みは成功するだろうか。【関連記事】 米「フォアグラ禁止法」に仏反発、中国も参戦で“世界大戦” 脱走失敗、クビかかる警官…ああ世界の“肥満物語” スペイン発・これが「世界最悪の修復画」 キリストがサルに…リオも、ムンクも 維新は分裂含み? 「54」議席の重みを生かさない手はないのに… 超セクシー「北朝鮮の『少女時代』」は微妙な国内情勢を反映 3本の矢に命運託す
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